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カステル・デル・モンテの怪鳥は東洋にもいたのか

 どうもでヤンス。

 眠いでゴンス。

 暑いザマス。

 はい、三人合わせてダルニです。こんばんわ。


 えー、今日はですね、前にも一度取り上げたことがあります『フレデリクス』について、ちょっぴり掘り下げてみたいと思います。


 いや、べつにゲームシステムとかバランスとかについてどうこうする真面目かつ有益っぽい話では全くなく。

 コンポーネント(ボードやコマ等内容物)に対する愛情の、なんとなく間違った方向の発露というか、そんな感じのしょうむないアレです。


  —・—

 そこで、いきなりですが、こんな本を取り出してみます。

フレデリクスと山海経
 
 平凡社ライブラリー版『山海経』。

 せんがいきょう、と通の人は読んだりしますね。


 記事のタイトルとこの本から、察しのついた方もいらっしゃるでしょうか。

 そう、今回は……

 ゲーム『フレデリクス』に使う怪鳥カード、あの変な飛行生物を奇書『山海経』の中から探してみようやないかい!

 という、「何それ楽しいのか」な企画です。(以下、無駄に長い)
 私は叫びます。

 楽しいわい!と。

「たの、C、Y」と手もきびきび動かしつつ。
(アニマル梯団おさるのパクリです。念のため)

そのまえに

 ここでちょっと説明。『フレデリクス』ってこんなゲーム。


フレデリクス

 プレイヤーは鷹匠となり、八角系のボードに鷹コマを配置。

 限られたアクション数の中で、移動したり、並べたカードをいじったりして、怪鳥カードなるカードをゲット。

 最終的に、王からの密命に合致した怪鳥カードを持ってると点がたくさん入る。点多い人の勝ち。


 ざっくりいうと以上のようなことです。

 でそのプレイヤーたちが狙う怪鳥なのですが、バネスト訳の説明書にくっついているデザイナー(エリジオ・カッツァート)の弁によれば、ボルヘスの『幻獣辞典』とギリシア/古代ローマの動物学的な古典(プリニウスとか?byダルニ)から選んだ、とのこと。

 残念ながら『幻獣辞典』は只今手元にないので、それならばと『山海経』を引っ張り出してきたわけです。


 じゃあ『山海経』って何やねん、ということなんですが、これが……説明の難しい代物です。

 端的に外側だけなぞって言ってしまえば、昔の中国人が書いた変な周辺諸国レポート、ということになるでしょうか。

 何が変かといえば、出てくる生き物ですね。北の方にはこれこれこういう生き物が住んでるぞー、とか書いてあるわけなんですが、ほぼ全部妖怪です。

 たぶん、担がれたか聞き違えたかしたんでしょうが、それにしてはちょっとヒドい。

 
 たとえば「獣がいる、その状は羊の如く、九つの尾、四つの耳、その目は背中にあり」みたいな生き物がずらーっと続いていて、横にその記述まんまの挿絵が入っていたりするのです。

 で、これを食べたら病気しない、とか、現れたら戦争になる、とか効能までしっかり載っています。

 まじめに書いてる風でもあるので、なんと言うか、昔の中国人の長すぎるボケ。

 いや、天然ボケ?うーん。

 とにかくそんな本。

 
 きっと妖怪好きにはたまらん感じの書物ですよね。

 日本の妖怪変化との照応関係なんかがいっぱい感じられて、大喜びで読んでそうです。

(この平凡社ライブラリー版には巻末に水木しげるの解説が載っていたりします)

 でもまあ、本当にただの羅列に近いので、結構ちゃんと読むのは大変だったりします。



 そんな『山海経』から怪鳥たちを探し出す方が、素直に『幻獣辞典』から探すより、大変な分達成感はあるでしょうし、なにより取りつく島もない『山海経』をあらためてじっくり読みなおす良い機会にもなる。

 とにかく一度腰を据えて、向き合いたかった。そんな「山海経」と「フレデリクス」。

 東洋の荒唐無稽は西洋に通用するのか。はたまた逆に西洋の怪奇は東洋のボケについて来れるのか。

 さてさて。

 
 
まあ何はともあれ

 さっそく参りましょう。しょっぱなは貴様!

アンフィスバエナ

 ABC順です。で、アンフィスバエナ(anfisbena)

 いきなり鳥じゃねーし。蛇だし。

 羽根はコウモリっぽいですね。

 尻尾にも蛇の頭。ていうか、どっちがメイン顔なわけ?

  
 えーと、とにかく、蛇の変なやつ探せばよいわけね。

 ん?でも蛇と言えば、

ヤクルス

 お前もか。この蛇状な怪鳥はヤクルス(jaculus)だそうです。

 おいおい若干ニヤけてるよ…。

 しかも蛇だぜ。こんなやつ飛んでたらめちゃくちゃ嫌だ。

 
 本の方を探ると、「西山経」の巻に「肥イ(虫扁に遺、です)」、「北山経」の巻に「酸与」、「中山経」の巻に「鳴蛇」「化蛇」「飛蛇」というのがそれぞれ書かれています。

 いずれも、蛇っぽい鳥か、翼ある蛇、の様子。

 
 このうち「肥イ」は、同じく「西山経」とそれから後の「北山経」にも「肥遺」と、今度は虫扁なしで出てきます。

 西山経の「肥イ」は「六つの足、四つの翼」とあって、既に蛇の領域を大きく逸脱していますが「蛇」と言い張ってます。

 北山経の「肥遺」の方は足とか翼とかはなく「一つの首に二つの身」とあります。惜しい!「一つの身に二つの首」だったらアンフィスバエナで決定なんですが。ちなみに「西山経」の「肥遺」のほうはウズラみたいな鳥とのこと。

 次の「酸与」は「その状は蛇の如くで四つの翼、六つの目、三つの足」という鳥。

 なんか違う感じですね。

 で、その次の「鳴蛇」「化蛇」は連続して出てくる蛇で、前者は「その状は蛇の如くで四つの翼」、後者は「その状は人面の如くで豺(やまいぬ)の身、鳥の翼を持って蛇行し」と記されています。

 でまあヤクルスはこの「化蛇」でいいんじゃねえか、と思いました。

 なんかニヤついている(人面)し、なんかたてがみぽい毛背中に生えてる(豺の身)し。

 最後の「飛蛇」は「霧にのってとぶ」という記述のみ。

 アンフィスバエナはもうこいつでいいや。

 ほかは無さそうだし。背景も霧っぽいし。

 
 一発目から既に適当。


 ハイまず決定。
 
 アンフィスバエナ→飛蛇

 ヤクルス→化蛇

 
 (ちなみに、韓非子に記載のある「蚘」という蛇は、尻尾も頭になっている、とありますのでアンフィスバエナにぴったり。で、自分で自分を食べるとのことです。正体は寄生虫の「回虫」らしいんですけれどね)

 
怪鳥界の大御所

 では三羽目。ABC順に戻ると次は…

バジリスク

 バジリスク(bajiliscus)でしょうか。
 
 メ、メジャーっすね。

 えっと、雄鶏が産んだ卵をヒキガエルが暖めて孵化して、とかそんなやつじゃなかったでしたっけ。

 まあいいや。とにかく、このカードだけ見て、それっぽいの探すだけです。

 石化ブレスとか邪眼とかは一旦脳みそから追い出しましょう。

 
 で、特徴なんですが、まず六本足。

 それからワニっぽい犬っぽい顔。

 コウモリの翼。太い尾。

 こんな感じでしょうけど、うーん、まずコウモリ翼の生き物が「山海経」にほとんど出てこないんですよね。
 かろうじて「海外南経」に「讙頭国(カントウ国と読むようです)に住むというカラス天狗みたいな顔の人間」の翼がコウモリのそれの絵だったりするのですが、まあ、人じゃねーし。

 ここは六本足で見てみましょう。

 そういえば先ほど挙げた「肥イ」なんかどうでしょうか。 六つの足、四つの翼に加えて「これが現れると天下おおいに旱(ひでり)する」とあります。

 この害獣っぷり!バジリスクっぽい!

 体も蛇といわれりゃ蛇だし。


 というわけで決定しました。

 バジリスク→肥イ

 
 よし、どんどんいきましょう。

 4羽目。

コカトリス

 こっ。

 ここっこ、こっここここコッシー!

 じゃなかった、コカトリス(cockatrix)

 
 引き続きメジャー級。

 またしても先入観を排除してカードをじっくり眺めるわけですが、なんかあまりにも鳥っぽくて逆に難しいですな。

 尻尾と顔が変なんですよね。

 まあここは細部にこだわらず、「ニワトリっぽい」というので探してみましょう(先入観入りまくり)。

 その状は鶏の如く、というのでは「ヘッフ(尚に鳥でヘツ、付に鳥でフ)」「鳧ケイ(ケイはぎょうにんべんに奚、でフケイと読む)」「キ雀(キは鬼に右上に斤、でキジャク)などありますが(あと「鳳凰」なんかもそう)、ここは「東山経」にでてくる「シ鼠」というのが良いのでは。

 シ、は「此」の下に「虫」と書きます。で、シソ、と読む。

 そのシソ、「その状は鶏の如くで鼠の毛」で、「これが現れるとその邑(くに)は大いに旱(ひでり)する」とあります。

 バジリスクとかぶってるあたりが○。

 
 ということで

 コカトリス→シ鼠

 
 
 うむ。こんなもんだろ。

いろいろノーマーク

 次はこいつ。

ペリュトン
 
 鹿ペガサス。

 ペリュトン(peryton)だそうです。

 こいつもむずい。

 
 怪鳥というより、もう鹿じゃんこいつ。

 ところでダルニは、山海経の「鳥」と出てくるところにぺたぺた付箋を貼りまくってから今回の企画に臨んでいるわけなのですが、鹿は。

 嗚呼、鹿はノーマークでしたよ……。

 なんかしんどくなってきたので、「蠱雕」というのでいいかと思います。

 コチョウ、と読むそうです。

 その状は雕(わし)の如くで角があり、と「南山経」にあります。

 どこにも鹿とは書いてないですが、鹿じゃないとも書いてない!

 ざっと読み返しましたけれど、鹿ペガサスっぽいのもいないようなので、決定!


 ペリュトン→蠱雕



 ほい次。

スティンファルス

 スティンファルス(stinfalus)

 蚊じゃねーか……。

 ノーマークだよ、てめえも。


 なんとか折れかけた心を立て直して「山海経」を探ってみると、虫っぽいの一つだけいました。

 読み方は不明ですが「文文」。「中山経」です。

 詳しい記述としては「その状は蜂の如く、分かれた尾に反りかえった舌、よく叫ぶ」となっています。若干異なるようですが、よく叫びそうな面をしているので、もうこいつでいいです。ブンブン、て感じですし。

 
 スティンファルス→文文


あと二羽

 残り二羽です。

 疲れた。えっと次は……。

ストリクス

 ストリクス(strix)

 ミミズクの翼がコウモリ。


 バジリスクのところでも書きましたが、コウモリ翼ってあまりいないのですよ山海経。

 というわけでミミズクあるいはフクロウっぽいもの探して列挙します。

 「顒(ギョウ)「南山経」。

 「橐ヒ(非の下に巴、でタクヒと読みます)「西山経」。

 「黄鳥」「北山経」。

 「タイ(鳥の右に大)鳥」「窃脂(セッシ)」「跛踵(キショウ)」「中山経」。

 あと実は、西山経には「ふくろうの如く」で「オウム」も出てきますが、除外します。

 
 なんかどれもいまいちフィットしないんですよねー。ギョウとタクヒは人面だし、キショウは一本脚。残り3種も三つ目(タイ鳥)だったり頭が白かったり(両方)。

 ここは「頭が白い」を無視するしかありませんね。

 セッシの「赤い身(体)」の方にします。なんとなく赤いので。

 
 ストリクス→窃脂

 
 いよいよラスト。

 こいつです。


ヴィーヴル

 なんか細いやつ。

 ヴィーヴル(viverna)

 
 じつは、ここまで「山海経」を何度も読み返す中で、このヴィーヴルはこれでいこう、と決めてました。

 記述は「大荒南経」にあります。「人がいる、鳥の喙(くちさき)、翼あり」。

 まさにヴィーヴルにぴったりです。

 
 これ実は、バジリスクのときに出てきた讙頭(カントウ)国に住むカントウなる亜人種です。

 「海外南経」と「大荒南経」に重複して出てるんですね。

 ということで、最後はすっきり決定。


 ヴィーヴル→讙頭


もう一度まとめ&おわりに

 まとめましょう。こんどこそABC順。

 ページ数は平凡社ライブラリー版のです。

 アンフィスバエナ(anfisbena)→飛蛇
 112頁「中山経」より「霧にのってとぶ」

 バジリスク(bajiliscus)→肥イ(イ、は「虫」の右に「遺」)
 28頁「西山経」より「六つの足、四つの翼」

 コカトリス(cockatrix)→シ鼠(シ、は「此」の下に「虫」)
 68頁「東山経」より「その状は鶏の如くで鼠の毛」

 ヤクルス(jaculus)→化蛇
 83頁「中山経」より「その状は人面の如くで豺(やまいぬ)の身、鳥の翼を持って蛇行し、その声はわめくよう」

 ペリュトン(peryton)→蠱雕
 22頁「南山経」より「その状は雕(わし)の如くで角があり」

 スティンファルス(stinfalus)→文文
 94頁「中山経」より「その状は蜂の如く、分かれた尾に反りかえった舌、よく叫ぶ」

 ストリクス(strix)→窃脂
 101頁「中山経」より、「状は鴞(ふくろう)の如くで、白い首(かしら)、赤い身(からだ)」

 ヴィーヴル(viverna)→讙頭
 118頁「海外南経」159頁「大荒南経」より「人がいる、鳥の喙(くちさき)、翼あり」また「海中の魚を食い、翼を杖にして行く」


  —・—

 ふー。

 いやー、結構苦労しました。

 基本的に読みにくいんですよ山海経。

 その中から鳥やら蛇やら鹿やら、見つけるたびに付箋貼って、あとでもっぺん読み返して比較、とか超しんどい。

 ま、でも。


 やっぱ楽しかったけどな!(知らんがな)


 なんか自由研究やってる小学生の気分でした。

 興味ある方は書店で探してみてください『山海経』。「フレデリクス」よりは安いですよ。


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東大阪→高松市在住。書店員
年上の嫁と小六の息子との3人暮らし。

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