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最近の読書ふたつ

ひとつめ

 ちょっと前ですが、奥泉光『シューマンの指』を読みました。

 「なんだかいつもの奥泉節じゃないなあ」と読み進み、「ということは地声を全く変えての語りなんだね。にしても徹底してるなあ」などと考えていれば意外なラストにもそう驚いたりはしないのでした。まあ、これくらいの仕掛けはあるのだろう、という想定内。
 
 クラシック音楽の輪郭を小説内言語どこまで克明かつ魅力的に描けるのか、またそれをいかにして叙述ミステリという構造物にはめこむのか、そういうチャレンジを楽しむ小説です。

 おかげでシューマン色々聞いてみたくなりました。結局そこにつきるのかも。

 
 でもやはり、『鳥類学者のファンタジア』『モーダルな事象』のほうが私は好みです。

 
 
ふたつめ

 それから、マイケル・サンデル『完全な人間を目指さなくてもよい理由』を読みました。

 生命倫理という領域にはずっと興味があって、それは「プロライフ論争、いったいどのへんに落ち着くのー?」程度の野次馬的興味でしかなく、みずから論陣を張ったりとかはできない役不足力不足の毎度残念な私ですが、本を読んで「ああそうか」くらいは考えたりしたいのです。

 
 で、まあ内容はタイトルの通り、行き過ぎた(治療を目的としない)遺伝子改変や遺伝子増強への不同意ではあるのですが、「そういうのを要求する社会ってそもそもどうなの」といったところにまで踏み込んでいて、なにやらハッとさせられました。

 産まれてくる子供にはこういう特長があれば有利だろう考える親は、個人の自由の範囲内で考えているのではなく、社会にあるいは当人の脳内に構築された社会の幻像に考えさせられているのではないか。そのように相対化して、あらためて個々の問題と向き合う、そのための良いツールです

 
 とか言いつつも相対化をせずに断言してしまえば、優生学なぞ「学」に値しない腐った根性の理論武装でしかありません。(きっぱり)

 あんなのナチです、と筆を滑らしたりしないサンデル教授に「あ、このひと大人(良い意味でも悪い意味でも)」と思いました。

 
 ……そんな普通の感想ですすいません。

 
 リベラルとかコミュニタリアニズムとかいう文脈からとらえたら、また違った読み方ができるのかもしれません。が、そういうのは私の手に負えませんので。

 
 でも10年前に読んだ『複製されるヒト』で描かれていた未来がこうやってあっさり実現していると思うと、すこし背筋に冷たいものが走りますよ……。

 
 
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Author:ダルニ
東大阪→高松市在住。書店員
年上の嫁と小六の息子との3人暮らし。

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